チャン・イーモウ監督の映画を観たのはこれでいくつ目でしょう。にゃにゃまるが生まれる前に中国で行われた“文化大革命”。にゃにゃまるには理解できない部分ばかりですが、文化大革命を題材にした映画や小説はついつい気になってしまいます。

チャン・イーモウ監督の文化大革命三作と言えば『活きる』『サンザシの樹の下で』『妻への家路』です。

『サンザシの樹の下で』に関してはこちらのページにて感想を綴っていますので興味のある方はご覧ください。

 

【中国映画】『サンザシの樹の下で』感想(※結末ネタバレなし)

 

残るは『活きる』のみ。『妻への家路』と同じくコン・リー主演です。こちらもいずれ必ず観たい作品ですね。

 

 

『妻への家路』


ざっくりあらすじ
婉玉の夫である焉識は右派分子であるとのレッテルを貼られ、娘の丹丹が3歳の頃労働改造所に送られてしまう。丹丹が高校生の頃、焉識は脱走し婉玉に会いに来るが、丹丹の密告で捕まってしまう。1977年、文化大革命が終わり、焉識は20年ぶりに我が家に帰ってくるが婉玉は記憶障害に陥っており夫の姿だけ記憶から抜け落ちていた。焉識は婉玉に自分を思い出させようと奮闘するが何年たっても婉玉には焉識が分からない。「5日に帰る」という焉識からの手紙を信じる婉玉は、何年経っても毎月5日に焉識とともに駅のホームで帰らぬ夫を待ち続けるのであった。

 

感想
こちらは『サンザシの樹の下で』とは違って背景にある文化大革命の影響が色濃く出ている作品ではないかなと思います。
バレエ楽団に所属する娘の丹丹が高校生の頃主役を狙うのは規制の多かった文化大革命中において上演が許された数少ない演劇である“紅色娘子軍”(革命歌劇)であり、練習風景やオーディション風景が出てきますし、右派分子として捕らえられていた焉識が脱走したときには共産党関係者がやってきて焉識が現れたときには党に従い通報するよう丹丹に言うシーンもあります。
そもそも焉識が右派分子として労働改造所送りになったのって、ただ大学教授だったからなんですよね。文化大革命中は資本家や教師や学者などの知識がある人がどんどん捕らえられたりしていましたから、焉識は何か悪いことをして捕らえられたのではないと思われます。
そして、丹丹が実の父である焉識を通報したのも、時代背景を考えると仕方のないことなのかもしれません。あの頃、人々はお互い監視し合うような政策があり、それは家族であっても同じ、だれも信じられないような時代だったようです。幼い頃から党に忠誠を誓うような教育を受けて育った丹丹、父を通報したことで婉玉は丹丹を憎み、家から追い出してしまいます。
寮暮らしの丹丹が母を心配して毎日様子を見に来ても婉玉は「何しに来たの」なんて冷たく言うし、「あなたのしたことは一生許さないから!」なんて厳しく言ったこともありました。涙を堪える丹丹の姿を見るのは本当に辛かったですね。母一人子一人で生活してきた母からそんな風に言われるなんて…。
逆に婉玉の方もそんな娘だからこそ裏切りが許せなかったのでしょうか。

 

「愛は許すこと」

 

なんて言葉を聞きますが、そんな婉玉とは反対に焉識は丹丹から裏切りを告白されても「知ってたよ」の一言。怒ることも、責めることもありませんでした。
20年間も離れて暮らしていたのに、焉識はしっかりと娘への愛情を育んでいたのですね。

 

さて、そんな焉識ですが、20年間も労働改造所に入れられても帰ってくるときには気丈なふるまいをしていました。
労働改造所と言えば精神的にも肉体的にもボロボロになってしまう場所。実際、婉玉と焉識の友人は労働改造所に送られ自殺してしまったということでしたから想像を絶するものがあったのでしょう。
しかし、焉識はそんな壮絶な20年を送ってきたことを感じさせません。婉玉への手紙も箱いっぱいに書いていました。焉識が過酷な環境の中生き抜けたのは「必ず婉玉と丹丹のもとへ帰る」という強い思いがあったからなのでしょう。
また、焉識は自分を20年間も家族と離れ離れにした時代を嘆いたり、記憶を失った婉玉や密告した丹丹を責めたりしない。残酷な状況にあっても誰のせいにもせず、辛抱強く現実と向き合っています。優しいだけでなくとっても心の強い焉識に胸を打たれました。

 

『妻への家路』
中国語題:『歸来』『归来』
監督:チャン・イーモウ(張芸謀)
   『紅いコーリャン』 紅高梁 (1987年)
   『活きる』 活着 (1994年)
   『あの子を探して』 一個都不能少 (1999年)
   『初恋のきた道』 我的父親母親 (1999年)
   『HERO』 英雄 (2002年)
   『LOVERS』 十面埋伏 (2004年)
   『王妃の紋章』滿城盡帶黃金甲(2006年)
   『サンザシの樹の下で』 山楂樹之恋 (2010年)
脚本:ヅォウ・ジンジー
原作:厳歌苓 『妻への家路』
出演者:チェン・ダオミン(陳道明)『HERO』、コン・リー(鞏俐)『紅いコーリャン』『さらば、わが愛/覇王別姫』『活きる』『SAYURI』『王妃の紋章』、チャン・ホエウェン(張慧雯)
公開:2014年(中国)、 2015年(日本)
上映時間:110分
製作国:中国

Comment





   

Calendar

S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
<< August 2018 >>

Archive

Mobile

qrcode

Selected Entry

Profile

Search

Other

Powered

無料ブログ作成サービス JUGEM